<インターネット時代のアメリカにおけるテレコム政策と政策ネットワークの変容>
清原 聖子
この度は、『第21回環太平洋学術研究助成費(出版助成)』を賜り、誠に嬉しく、光栄に存じます。本研究は、東京大学大学院情報学環の助手を務めておりました間に完成させました博士論文研究でございます。本研究の完成には、東京大学大学院情報学環の諸先生方、フルブライト留学でお世話になった日米教育委員会の皆様方、学会等で貴重なご指摘を下さった先生方から多くのご支援をいただきました。特に、恩師の久保文明教授、また、ジョージタウン大学留学中にはClyde
Wilcox教授に、熱心にご指導頂き、深く感謝しております。本研究がこのような栄えある出版助成の対象となりましたことに、万感胸に迫る思いがいたします。大平裕理事長、渡邊昭夫委員長をはじめ、選考委員の先生方、財団関係者の皆様に心より御礼申し上げます。
現代社会は、インターネットの急速な普及により、10年前と比べ大きく様変わりしました。インターネットや携帯電話等、近年の技術革新が及ぼす社会的、経済的影響について、多くの研究が行われる一方で、それがより直接的に関係するテレコム(電気通信)分野の政策研究については、政治学の観点からほとんど行われていないのはなぜか、という率直な疑問が本研究に取り掛かるきっかけになりました。
アメリカのテレコム分野は長い間規制下の独占であったため、巨大電話会社のAT&Tが政策過程を支配するといった状態が続いていました。1980年代には、長距離通信市場の規制緩和や技術革新の影響等により、テレコム政策に関わる業界団体は徐々に増加する傾向にありました。しかし、その様相が爆発的に変化するには、インターネットが広く普及した「インターネット時代」の到来を待たなければなりませんでした。いまやテレコム政策に関わり、活発な活動を行う団体は、通信業界団体やハイテク業界団体はもちろん、教育団体、図書館団体、リベラル系、保守系の団体等、非常に多様化しています。本研究は、インターネット時代のアメリカのテレコム政策の展開においては、従来よりもテレコム政策の射程が拡大し、周辺領域との政策間の垣根が融解してきたため、テレコム政策ネットワーク外の政策ネットワークのアクターがテレコム政策ネットワークにおいても活動を活発化させていることが極めて重要である、という見解に至りました。
最後に、日本の情報通信政策は、これまで欧米の政策動向に強い関心をもって検討されてきました。そこで今後は、本研究が日本の情報通信政策分野の発展の一助となることを祈願し、一日も早く本研究を出版できるように邁進していきたいと考えております。これからもこの分野の研究に携わるものとして、精進していく所存でございます。有難うございました。 |
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